第66話

葵衣side


病院を出てからというもの一切こっちを見ようとしない翔貴


雰囲気からして怒っている様子


でも、何を怒っているのか分からない


翔貴が怒ることは何もなかったはず


とりあえず、翔貴にこっちを向いてもらうためにどこに行っているのかを訪ねると、本家とだけ返ってくる


本家に行くのはいいとしても手土産も買わないとだし、このまま本家に行くのは本家の人がかわいそうだから


翔貴が怒っているからか、運転手の組員さんの顔色が悪い


綾人は、この状況が面白いのかずっとニコニコしている


どうしたらいいか分からない私はとりあえず後ろから抱き付いてみる


そうすると少しだけ反応した翔貴


今度は、翔貴の耳元で囁いてみる


すると、さっきよりも反応する翔貴


それが嬉しくて、一瞬だけ口づけをすると


驚いているのか、目を見開く翔貴


「お仕置きが必要だな」


そう言って、荒々しく私の唇を塞ぐ翔貴


「んっ、、、」


唇の間から割り込むように舌を入れられる


口内で絡み合う唾液


「んっ、はぁぅ、んんっ」


息をしよう離そうとしても離れない唇


そろそろ、ヤバイ


意識が遠のき始めた頃にやっと解放された唇


「はぁ、はぁ、はぁ」


肩で息をする私を見て、クスっと笑う翔貴


「少しは反省したか?」


「反省もなにも、なんで怒ってるのか分からない」


「ふーん、ならもう一度・・・・・」


「ゴホンッ 若、到着いたしました」


綾人の声かけで顔を近づけてきていた翔貴が止まり、車から降りた


「チッ、、、行くぞ」


「え?」


「手土産買うんだろ」


「ほら」と言いながら手を差し伸べてくる


私は、その手を取り車から降りた

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