第63話

あれから、やっと仕事に行った翔貴さん


どうしよう、これからどうやって話せばいいの


ただでさえ、前の翔貴さんとは違いすぎて頭が追い付いてないのに


呼び捨てで呼ぶなんて無理だ


まあ、仕事が溜まっていると言っていたから当分は来ないだろう


「ただいまー葵衣」


えっ?なんで、帰ってきた?


いつもなら、仕事に行ったら何か月も帰ってこないのに


昼頃に、仕事に行ってもう帰ってきた


「お、おかえりなさい。翔貴さん」


びっくりしながら迎えると


「ん?聞こえないな?」


と顔を近づけてくる


「お、おかえり。翔貴。随分と早かったね?」


「全部は終わってないから、残りはここでするから。」


「なら、家に帰った方がいいんじゃない?」


「なんで?葵衣は俺と一緒に居たくない?」


一緒に居れるなら一緒にいたい


でも、翔貴さんには私以外の大切な人がいるはず


だから、わがままなんて言えない


「葵衣?」


ふわりと後ろから抱きしめられる


「今まで、ごめんな・・・ずっと1人にさせて」


耳元で囁かれる声に、涙が溢れてくる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る