第44話

「リッタ様の口から聞いただけでイキそう。」

「だめ…っ。」


リッタはもう魔王としての振る舞いも崩れている。



「だめ?今日はやめとく?」

「違う…。やめな……ん、んンッ…。」



ウィードにやめるつもりなんてない。

今を逃したらリッタをベッドに誘うことは難しいだろう。


ただリッタに求めてほしかった。

それにぐずぐずにして、過去の雄なんて思い出せなくしてしまいたい。

でもそれ以上にリッタがほしい。


主導権はウィードの手に渡っていた。



「リッタ様。そろそろあなたの中に入りたい。いい?」


「あん。…うん。きて…っ。」


上気してとろけたリッタの表情に理性が飛んだ。

脚の間に入り込んだウィードはリッタに分け入る。



「あ、あぁ、や…。おっき……あぁんっ。」


ウィードが小さく呻く。

熱くて、溶かされるように柔らかくて、吸い込まれるように締め付けられて、可愛い声に可愛いことを言われて。

ウィードはぶるっと震えた。

それを見たリッタはびっくりした。



「ごめん。感動してるしすごく良くて…。」


「ふふ。なら問題無い。」


「あ。口調戻ってる。」


「これは嫌なのか?」


「嫌なわけないよ。どっちも大好きなリッタ様だから。」


暑いと呟いて乱暴に脱ぎ捨てる。

ウィードの筋肉質な身体にはあちこちに傷跡がある。

魔物の鋭い爪跡や火傷のような跡、鋭い切創の跡、形や大きさは様々だ。


リッタの指先が右脇腹の傷跡にそっと触れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る