第41話

「100年前の勇者にはあなたが対峙したんだよね。どんなふうに勇者を丸め込んだ?前の勇者には欲情した?どんな風に…。あぁ待った!そんな事をあなたの口から聞いたら、墓を暴いて骨を灰にしても足りない!」


「…。」


「…引いてるよね。それくらい、あなたの全部が欲しいんだ。好きなんだ。」



とんでもない見当違いをしている。リッタは思う。


でも想う相手にこれだけ想われているなら、人間を選んでも良いかもしれない。

そう思えてくる。



次の瞬間、リッタとウィードは別空間に転移した。

ウィードによる魔術だ。


初めて見る部屋だが、リッタの居るそこがベッドの上だとすぐに理解した。

リッタのベッドに比べたら質素なものだった。



「強欲め。それにベッドの上でお喋りが過ぎると緊張していることがバレてしまうぞ?」


これまでリッタはいくらでも拒絶出来たはずなのにしなかった。

ウィードはそのことに満足する。

リッタの瞳はどこか艶っぽくて挑発的で全身が粟立つ。



「隠しても仕方がないよ。緊張してる。初めてだし待ち焦がれてたから。強欲なのも認める。ずっとあなたが欲しかった。」


そっと角に触れる。リッタは素直にその手を受け入れた。

愛おしそうな瞳を向けられる事がくすぐったい。



「ところでここは?」

「ポートランダから南にすぐの村だよ。強盗団をやっつけたし勇者だからこの家建てて貰えたんだ。」


「それはすごいな。」


「勇者住んでるってなったら安全性高まるし人も来るかもしれないって魂胆なんだと思うよ。」


「そうなのか?」

「んー、たぶん。」


気のない返事をしたウィードは口付ける。



「ずっと触れたかった。血なんて通ってないみたいに花みたいに薄い薄い紫の肌も、黒い立派な角も」


「お前…、怖くないのか?身体のつくりが人間と違うかもしれないじゃないか。」


「そうなの?」


「知らん。」


「人間の構造なんて知らないし、後にも先にもあなただけで良いから。

それに魔族のことは勉強しといたし。」


そう言いながらもリッタのナイトドレスをウィードはもたつきながら脱がせる。

じれったいくらいにそっと扱うせいだ。


実はウィードは脳内シュミレーションも欠かしていないがドン引きされ兼ねないから黙っておいた。


下着から開放された乳房に視線を感じる。

魔族が裸を見せて羞恥することはない。

晒された身体はウィードの想像以上に魅力的で、興奮に息が荒くなっていることにも気付かない。



「ちょっと色々な意味で感極まってる。柔らかくてむにむにしてる。」


言いながら、乳房に触れると恐る恐る形を歪めた。おぉと小さく感嘆をあげるウィードが無性に可愛く見えた。


しかし可愛いと思ったのも束の間の事だった。

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