第28話

リッタは魔族ではあるものの、人間の食事も好む。

だから海の幸が堪能できるレストランでランチを堪能した。



「やはりお前の見目は整っているな。」


リッタは唐突にウィードの顔をまじまじと見ながら言った。



「へ?!」

「先程から多くの女の視線を惹いているようだ。」


そうリッタが言うからウィードは辺りを見回す。

すると他の席の女性と目が合ったりチラチラと視線が向けられている感覚が有った。

それは今まで人間と関わる中でいくらでも経験していたのだが

リッタは得意げな顔をしている。



「…なんで嬉しそうにしてるの?」

「嬉しいじゃないか。優れているという事もそれを認められるという事も。」


「俺なら嫌だね。さっきの男みたいな下卑た視線がリッティに向けられていると思うと。あの悪そうな頭で卑猥な事を考えてると思うと八つ裂きにしてやりたい。」


「物騒な事を言うな。思考はどうにも出来ないし、減るもんじゃない。」


「リッティは分かってないよ。男も雄も頭の中はリッティが思う以上に物騒だよ。性的に。だから無防備でいないで。」


「お前もそういうことを考えるのか?」


「えっ?」


「性的に物騒な事。」


「え?いや、えっと…」


「ふふふ。仕返しだ。」



可愛いと言ってからかった事を根に持っていたらしい。

ウィードは思い当たると苦笑いした。


人間の考えてる魔王とは全然違う、こんなにも可愛い魔族の雌だ。

もどかしい距離を詰めてゼロにしてしまいたい。


リッタ様さえいれば俺はそれだけで良いのに。

今日みたいな日が続けば良いのに。

勇者とか魔王とか、そういうの要らないのに。


ウィードは楽しそうなリッタに思った。

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