第7話

可愛いものが好きで、争いはあまり好きではない甘えん坊な性格は母親譲りだったリッタ。


そんな彼女は幼い頃から王位継承権が有ることが定まっていた。


早くに亡くなった母親の分まで大切にしてくれた父親の願いである王位継承と己の並々ならぬ魔力の強さ。

リッタは王位継承の可能性を受け入れ、日々魔力増強と魔術の体得に勤しんだ。


歯車が一つでも欠けたり違う場所にあれば機械が動かないように


一人ひとりがきっと役割を持っていて、全うしたときに理想の世界になることが叶う。


リッタは魔王という歯車になる決意を幼い頃からしていた。


これが彼女の歯車論。

彼女はずっとこれを胸に王女時代も魔王時代も自分を鼓舞していきている。



“なんで勇者の剣を抜いたかねぇ”


これはリッタの歯車論で云えば、愚言他ならなかった。


リッタが望んだのだ。

今のように魔王城で魔力を高めたり魔術を覚えたりせず

勇者となって、ひとりの人間として人間社会で暮らし、魔族との平和協定を結んだ賞賛を一身に受けて幸せになる事を。


それが自分の手から離れることや自分と敵対し得る事も理解した上で、望んだのだ。


今だってその想いは変わらない。

たとえ協定が交わされなかったその先に自分の死が有ろうとも。

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