第4話

「少し浮いて越えよう。背負うよ。」

「…大丈夫?」


大丈夫さ。僕は明るく答えた。


ランタンをレシェに手渡し、しゃがむ。

レシェの体温が僕の背を包んだ。

ゆっくり立ち上がってから、唱えた。



「古より全てを包みし空気よ

歩み止まりし我に 汝の愛を」



僕は頭で思い描く。

目の前に一段二段と階段が有ると。


足は空を踏みしめる。

柔らかな絨毯の上を歩くのに似ている。


レシェは僕にしがみつく。

大丈夫だよ。小さく笑ってしまった。



苔むしたナラの木を越えて、またレシェと歩き出す。

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