第3話

丘を下り、森へと足を踏み入れる。

それが徒歩での最短経路だった。


僕は干渉してくる精霊や妖精の声を遮断した。

レシェと居る今を大切にしたかった。



ぱきっと踏んだ小枝が折れる


梟が歌う


さわさわと木の葉が風に撫でられる


動物が駆け抜ける


幾つもの音を拾いながら

僕はほんの少し後ろを歩くレシェに振り返る。



「怖くはない?」


「大丈夫。」


消え入りそうな小さな声

僕はそれでも安堵する。



ランタンの金の光

照らす足元には倒れている苔むしたナラの木


僕らに立ちはだかるそれを越えられない。

レシェの白いネグリジェが汚れてしまうから。

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