第34話

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俺の斜め前に座っている女の子は莉久ちゃんに目元がそっくりで、性格はちっとも似ていない。


それでいて、莉久ちゃんが窘めるような事を言う若さとか天真爛漫さはきっと計算されている気がする。



「凄いなぁ。まさかあのストリートライブのお兄さんが姉と友達だなんて思いませんでした。」


莉久ちゃんが席を立ってから、先に口を開いたのは菜津ちゃんだ。



「びっくりしましたよね。」

「あはは。びっくりですよー。キャラ違いすぎて話とか合わなくないですか?あ、でも松尾さんウェイ系かと思ったけど、話したら普通だから安心しました。」


「俺陰キャなんです。」


あははーとお互いに笑うけど、これはなんの時間だ?

そして思う。


若い女は苦手だ。


特にうるさい女が集まって喋りだすとサル山じゃないかと思う。

でもきっとそれは、俺の捨てきれずにいる苦手意識のせいだろう。



「姉って、いつも私を最優先にしているんです。」


突然菜津ちゃんは言った。俺は予期しなかった転調に内心驚く。

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