第20話

カフェを出てからビルの外も歩いたりして、洋食屋に入った。

この時も私のお財布は出番が来なかった。

友達なのにと、私は思った。


経験値が低くて奢られる事に負い目を感じてしまうのだ。



それでも、二人で過ごしたおよそ3時間半はあっという間だった。


送るという申し出を丁重に断り、街灯の下で分かれる事にした。



「楽しかったです。」

「本当?」


「本当です。」

「良かった。…今心ん中でガッツポーズしてます。」


松尾くんは確認した後でホッとしたように微笑む。


あぁ、まだ一緒に居たかったなぁ。そう思った。

そんな私を莉久ちゃんと呼ぶと、また手を出すように言う。



「こっちかな。」


手の甲を上に出したらそっとひっくり返された。

さっきとは違うのか。ちょっと恥ずかしい。



「はい。」


私の手のひらに先ほど立ち寄った雑貨屋さんの袋が置かれる。

円錐形のフェルトで出来たこぶし大の小人『kobiton』の置物だと形で分かった。

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