第17話

「全然!そういう感じ好きです。可愛い。」

「ありがとうございます…?い、行きましょうか。」


「はい。」


どこが陰キャ?と思った。

松尾くんのファッションが好きだと思っても言えないし、ありがとうございますより適切な返しが出来なかった私の方が陰キャっぽい。



電話で話したとおり、電車で少し離れた街にきた。

駅ビルにはアパレル関連だけでなく、生活雑貨や写真屋なども入っている。


髪色が派手な彼と地味な私は、他の人にはどう見えるのだろう?

手を繋いでもいないし、かといって遠過ぎもしない。


松尾くんが松尾くんじゃなかったら正直お知り合いになる事も無さそうな容姿の彼を盗み見た。


髪色、似合ってるなぁ。顔が整ってるし肌の色にも合ってるんだろうなぁ。私なら絶対無理。


松尾くんは、そんな不躾な視線に気付いて、私の気持ちを汲みとろうとしてくれる。



「疲れてないですか?」

「だ、大丈夫です!」


その後も2人でおしゃべりしながら歩いた。

いろんな商品を見るなかで、松尾くんはシンプルな物と色は緑が好きな事が分かった。



「松尾くん、入りますか?」

「いや、今日は、…デートなので…。」


「デートなんですね。」

「俺からしたら…はい。」


「じゃあ尚更入らなきゃ。」

「え?そうなんですか?」


楽器屋さんの前で一瞬足を止めた松尾くんの腕をひいて入った。 

 

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