初めてのデート
第16話
『今、2分くらい電話しても良いですか?』
静寂くん、もとい松尾くんが電話をくれたのは、友達になって1時間ほど経った頃だった。
『今日はありがとう。莉久ちゃんが暇な時、会いたいです。』
ストレートな言葉にきゅっと胸が疼く。
さっきより声が近くて、なんだかドキドキする。
「私も、そう思ってました。」
本音で返すと嬉しそうにした松尾くんとは翌日の午後から会う事にした。
友達として、でもガッカリされたくない。
私はクローゼットを漁ってから眠ることになった。
「お母さん、夜ご飯食べてくるかも。」
「遊びに行くの?あ、デート?」
「遊びに行くだけ!」
25にもなるのに母は高校生の妹と同じように扱ってくる。
気を取り直して待ち合わせの場所、あの街灯の下に行った。
10分前に着くと、すでに松尾くんはいた。
太陽の下で見る金髪はほとんど白にすら見える。
松尾くん、声を掛ける。ハッとした松尾くんは私を認めると目をパチパチさせた。
「すみません、お待たせしちゃって。」
「全然です。……莉久ちゃんって一瞬分からなかった。」
「そうですよね。私を見かけたのは仕事帰りの時だし。松尾くんはすぐに分かりますね。」
「便利でしょ?前事務所の担当と待ち合わせてるとき、隣のおっさんに“スーパーサイヤ人みたいなキンパツの横”って言われました。」
ソッコー移動しましたけど。松尾くんと笑いあう私は、彼に見つめられている事に気付いて気恥ずかしくなる。
「…へ、変ですか?」
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