第7話

静寂シジマくん、Cメロから歌詞変わってるじゃん。」

「即興にしては上出来でしょ?」


ゆるく笑いながら、ギャラリーの男性と会話している。

この空間の雰囲気があたたかくて心地いい。


静寂くんって言うんだ。

私は心に留めておく。



「次でラスト。リクエスト有れば。」


何人かが挙げた曲は ポップなミディアムナンバーだ。

楽しそうに歌う静寂くんが「はい」というとギャラリーが歌のいち部分を引き継ぐ。


曲が終わると、静寂くんは笑顔でありがとうと言った。



「次会う時はさ、みんな驚かせるね。」


楽しみにしてて、と静寂くんが言う。



「黒髪?」

「前はそうだったよ。黒、茶ってきて、今はホワイトブリーチ。」


「その色禿げそうだよね!」

「それ、言っちゃいけないやつ。でもさらに色載せようとしてたからね。しなくて良かった。」


「女になってる!」

「俺が?キモいだけだろ。なりません。」


「ラブソング書いてくる!」

「経験値無くて無理だっつーの。」


ギャラリーの予想に静寂くんが丁寧にツッコんでいくと、みんなが笑っていた。

彼を知らない私も掛け合いのようなやり取りに笑ってしまう。

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