第4話
言ってあげてー、なんてギャラリーからの声も聞こえた。
男の子はギターを肩にかけたまま立ち上がると私に近付いてくる。
思わずうつむく私の視界に、男の子の黒い革のトングサンダルが2つ。
私の横に立つと形の良い奥二重で覗き込む。
心臓がせわしない。
「言ってください。ていうか、聴かせてもらいたいです。今おねーさんが思った事。」
ジャン。
アコースティックギターの弦を弾いた男の子は覗き込みながら問う。
「今の歌、糞ダサかった?」
「違います!」
良かった。そう呟くと、ピックで弦を弾く。
さっきの曲のアウトロだろうか。
言わないと失礼だ。そう思ったら呑み込んだはずの言葉が口からこぼれて出る。
「今の歌、もう一度聴きたくて、それで思わず…。ごめんなさい!変な事言って。失礼ですよね。」
慌てて訂正した。
聴いてなかったと取れるような事を言われて喜ぶ人なんて、きっと居ないだろう。
いま来たところだと咄嗟に言えない自分が情けない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます