第3話

「聞き慣れた目覚ましの音 また同じ朝がきた」



アコースティックギターで穏やかなアウトロを奏でる。ステージライトさながらの街灯はその子の為にあるかの様だ。


ギャラリーが曲が終わった後に拍手を贈る。



「あの…っ!」


私も同様に拍手をおくった後に声を掛けた。

ほとんど無意識だった。

ギャラリーの目が私に向けられる。



普段なら、こんな事はしない。

きっと、足を止めたときからいつもとは違った。



男の子は、私に顔を向けると、わずかに目を見開かせた。それに気付いた一方で、綺麗な目をしていると思う。

降り注ぐ街灯を反射しているからだろうか。 



「はい。」


その子から聞こえたのは、意外に低い声だ。

よく見ると、年齢も私と変わらないかもしれない。



どうしよう。私今、すごくおかしな事をしてるんじゃ…。

しんと周囲が静まって、私の熱が覚めて行く。



「あの…」

「はい。」


「ごめんなさい。やっぱり…」

「それ、すごく気になるやつだ。」


くすくすと男の子は苦笑する。

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