第2話

「悲しみが覆い尽くした夜で 僕らは」



私はいつものように通り過ぎるでなく、バラードにイザナわれるようにしてヘトヘトの足を動かしていた。


いつも歩道の街灯の下でほとんど白と言っていい金色の髪を揺らしながら歌うその男の子は、ファンも少なくないらしい。


警察に移動を促されて今の場所にたどり着いたと、近くのコンビニでお客さんと従業員が話題にしているのを聞いた。



「像を結んでいく」


十数人のギャラリーの中に男の子の姿を認める。


白いゆるっとしたカットソーに黒いパンツというシンプルな出で立ちに金色の髪が映える。

丁寧に施されたのだろう事は遠くからでも見て取れた。


心地いいメロディと伸びやかな歌声が心を掴んで離さない。 

一層熱がこもった歌い方に、そこがこの曲の大サビだと分かった。

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