第37話

手口は俺達の時と同様。犯人は逃走中だと云う。

その報告を受けて組の事務所から清和ローンに戻る頃には、死者が一人、負傷者が二人だと分かった。



「北の奴らは俺達の報復だと息巻いてます。」

「このタイミングじゃ無理もねぇな。」


俺は笑うしかない。

違うなんて言って通じる相手じゃないからだ。お互いに。



「ウチじゃないっすよね?」

「ったりめぇだろうが。」

「じゃあ誰がこんな事。」


此処もまた騒然とする。

無理も無い。


飯田だったな。アポでも取り付けるか。

窪山組の若頭を思い出す俺に舎弟の一人が口を開いた。



「兄貴、これに乗って仕掛けますか?」


「乗っかるなんてセコい真似、ウチの面子メンツが潰れんだろうが。」


「すいません。」


俺が威圧的に言えばそう詫びて押し黙る。



ヤクザは面子を重んじる。それを潰される事ほどの屈辱は無い。


しかし面子面子と騒ぐほど愚かな事は無いのも然りだ。



「謝る位なら黙っとけ。」



舎弟の脛を蹴った。

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