第37話
手口は俺達の時と同様。犯人は逃走中だと云う。
その報告を受けて組の事務所から清和ローンに戻る頃には、死者が一人、負傷者が二人だと分かった。
「北の奴らは俺達の報復だと息巻いてます。」
「このタイミングじゃ無理もねぇな。」
俺は笑うしかない。
違うなんて言って通じる相手じゃないからだ。お互いに。
「ウチじゃないっすよね?」
「ったりめぇだろうが。」
「じゃあ誰がこんな事。」
此処もまた騒然とする。
無理も無い。
飯田だったな。アポでも取り付けるか。
窪山組の若頭を思い出す俺に舎弟の一人が口を開いた。
「兄貴、これに乗って仕掛けますか?」
「乗っかるなんてセコい真似、ウチの
「すいません。」
俺が威圧的に言えばそう詫びて押し黙る。
ヤクザは面子を重んじる。それを潰される事ほどの屈辱は無い。
しかし面子面子と騒ぐほど愚かな事は無いのも然りだ。
「謝る位なら黙っとけ。」
舎弟の脛を蹴った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます