第35話

逮捕には三つの種類がある。


裁判官から逮捕状を発布された上で行われる『通常逮捕』。

犯罪が行われている状況下での逮捕、所謂『現行犯逮捕』と

急速を要し先に逮捕する『緊急逮捕』



マル暴は裏を取って逃げ道を塞いでから逮捕する事が多い。


何故ならあっさり現逮される程俺達は馬鹿でもないし、ちんけな罪で捕まえていたらキリが無いからだ。



書類仕事を増やすだけで、ちんけな罪での逮捕なんて、時間の無駄だ。


誰彼が何処に潜伏してるだのといったアングラの情報を警察に流すのは俺達だったりする。


挙げてもしようがないが、いろんな意味で持ちつ持たれつが成立してるんだ。




もしかしたらマスターならと思って、オーダーされたグラスを届け終わった巨体を引き留めた。



「マスター。倉田って新入り知ってる?」


マスターは記憶を手繰る素振りを見せたが、俺にあっさり答えた。



「知らんな。」

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