第17話
「はい。1ヶ月前に新しい方が来られたんですが、辞めてしまわれました。3ヶ月前に前任の方が療養で辞められて不在だったので、喜んでたんですが…。
"慈善事業じゃあるまいし、お金のためにやってるのに、これじゃ割に合わない"って。
分かってるけど、はっきり言われたらやる瀬ない気持ちになりました。」
神父はこんな街でたまに来るジジババ相手に神の加護だかなんだか言ってるのが馬鹿馬鹿しくなったか。無理もねぇな。
地味女は悲しげに言葉を紡ぐ。
「私、子供の頃から教会に祖母と通ったし、学校も宗教系だったけど、教えに従って生きていくのは難しいって分かってるんです。
こんな事じゃ、この街に幸せなんか訪れないって。」
「街に幸せ…ねぇ。」
変な女。市長かっつーの。
「…ヤクザさんは爆弾事件の犯人を恨んでいますか?」
地味女は俺に情けねぇ笑みを浮かべたまま問うた。
「当たり前だ。言うじゃねぇか。目には目をって。」
「目には目を。ハンムラビ法典ですね。本当は違うようですよ?」
「違う?何がだ。」
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