第14話

チッ、来やがった。俺は鬱陶しさに顔を背けた。

すぐに地味女の声が飛んでくる。



「こらー、れいじくん、りっちゃん、いっくん、此処はいたいいたいお兄さんのお部屋です!」


あ?いたいいたいお兄さん?



「騒々しくてすみません。」

「……気にすんな。」


俺はガキに腹立てるような小さい男じゃない。



「謝るなよ、ミイラなんかに。」

「てめぇ、れいじ。お前の顔と名前はしっかり覚えたからな。」


「何か言いました?」

「いや?別に。」



この階には託児所が有る。

預けられているのは水商売の女のガキが殆んどだ。


暇だからと云う理由で地味女は託児所の方も手伝っているから、教会にガキが出入りしている。


専ら俺は『みいら』と呼ばれていて

普通に来るガキやらドアの隙間から覗いてきゃっきゃしてるガキやらで

静かではない。


地味女はガキを連れて出ていった。



この場所は御咎町ではないような気にさせられる。


平和とか善意とか薄気味悪い言葉がぴったりだ。



吐き気がする。

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