第13話

『私このフロアの託児所もお手伝いしてるんです!おむつ替えもばっちりなので、排泄の心配はしないで下さいね!』


得意気な地味女はその後始末もするとか言い出しやがったが、生憎俺のプライドが許さない。



「なぁ、便所行きてぇんだけど。」


「あ、はい!じゃあ手伝います!」


俺は左肘を壁に突いて脚を引きずりながら歩く。


足は捻挫してる事が分かった上、アバラ2本ひびいってるせいで歩くと響くからだ。


俺と壁の間に挟まれている地味女は俺を支える…



「いでででででででででで!!」

「ああぁ!ごめんなさいごめんなさい!」


…つもりで俺のひびいってるアバラを思いっきり押さえ付けやがった。



「ご、ごめ…」

「そこもいてぇ!」



便所に着くと、屈めない俺の代わりに地味女がズボンを下ろす。

顔を背けているのは恥ずかしいかららしい。


俺が必死になりながら時間をかけて、便座に腰を下ろして用を足してケツを拭き、流して出た後。



「じゃあ、上げますね。」

「いてぇ!」


地味女の指から外れたパンツのゴムが俺のムスコにヒットした。


「きゃあ!ごめんなさい!」



「やるならちゃんと見てやれ!」

「だ、だだって!」


「俺のムスコが可哀想だろうが!おら!ちゃんと見ろ!」

「ひぃ!」


かがんでる地味女の頭をムスコに向けようとしたのが悪かった。



「……やっぱりいい。」

「へ?」


「いいから履かせろ。」


俺がこんな時だってのにムスコは幸か不幸か元気になりかけた。


てか何が"ばっちり"だ。



こんな風に地味女はドジをかましやがるが

俺は腹をたてる気も起きなかった。


これが舎弟なら殴ってるだろう事も、地味女には『気を付けてくれ』で済んでしまう。


残念なんだ。

この地味女。




「あー!まだミイラがいるー!」

「ほんとだ!まだみいらだ!」

「みーら、いた!」



この場所も。

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