第8話

ドンパチ通りのビルに着く。入り口真ん前にべた付けしたら池島さんは勝手にドアを開けて降りた。その後を追う。



「お疲れっす。」

「おぅ。」


2階、池島さんが社長を俺が副社長を務める『清和ファンド』に向かった。

頭を下げる舎弟に返事をして池島さんを探す。


「池島さんは。」

「頭なら便所行きましたよ。」


それを聞いて自分のデスクに向かった。


それから数分。



「曽根工業さまからのお届け物です。」


自動ドアが開いた。

運送会社の制服を着た男が段ボール箱を別の舎弟に渡す。

"曽根工業"とは俗に言うフロント企業だ。



「曽根から何か聞いてるか?」

「いえ、自分は何も。」


俺が近くにいる舎弟の入江に聞いている間に運送会社の男は立ち去ろうとしていた。

俺は言い知れぬ不安を感じて。



「おい、運送屋の兄ちゃん連れ戻せ。」

「は?」


「いい。俺が行く。」


荷物を持った舎弟をかわして運送会社の男を追い、自動ドアを出た、まさにその時だった。



鼓膜を破るような爆発音、自動ドアの砕ける音、背後に熱と吹っ飛ばされる感覚。



どれが先で後でなんて分かりはしなかった。




一瞬で俺の身体は宙に飛ばされていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る