39話

唇に柔らかい感触を感じて、思わず目を開けると優大君が目の前に居てびっくり。


「真希ちゃんが好き過ぎて、キスしちゃった」



私は自分の体温が上がってるように感じた。

初めて、優大君とキスをした。


ドキドキが止まらないでいると、優大君が微笑んで大好きだよと言ってくれた。



だから私も大好きと笑顔で返した。


こんな気持ちになるなんて、思わなかった。


最初は軽い気持ちで好きって言われた気がして、嫌だったのに。


話してるうちに、きっと悪い人じゃないんだと思った。

一緒だと楽しくて。


いつの間にか友達じゃものたりなくなってしまって、彼女として仲良くなりたかった。だから告白をOKした。


優大君が好きって言ってくれた時の真剣な表情は今でも鮮明に覚えてる。


この人ならきっと大丈夫って思えたの。

なんの不安もなく好きになっていいんだって。


さっき、一緒に泣いてくれたから。


恋人になれて良かった。もっと一緒に居たい。



あ、そういえば優大君の匂いって、あれみたい。



私はベッドの近くに置いてある、透明なガラスの入れ物を取り出した。蓋もあって、その中には水晶の細かいさざれ石が入ってるの。


一緒に入ってる、シトリンタンブル。


優大君の香りって、この石みたい。


「見て。これね、私の宝物なの。おばあちゃんがくれたんだ。いつも元気もらってる」



「へえ、よく見せてよ」


手に乗っけてあげると、まじまじと見る優大君。

確かに綺麗だけどって言ってくれたんだ。


ん? だけど?


気になった言葉の続きを聞いて、つい笑ってしまった。



「僕だけが真希ちゃんに、いつも元気を分けてあげたい」


また、口を尖らせて可愛く言ってる。


そんな所も好きになっちゃう。


「石にヤキモチ妬いてるの? 」


「だってえ。僕が1番大事でしょ」



「そりゃあもちろんだよ。っていうか、優大君の付けてる香水みたいだなって思ったの」


「じゃあ、僕だと思って大切にね」


「ふふっ。優大くん小さくなっちゃった」


「いつも、よしよししてね。さっきみたいに」



優大君と話してると楽しいし、凄く愛しい。


この幸せがいつまでも続けば、きっと藍来を忘れられるよね。


優大君が1番好きになっていくんだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る