33話
「大丈夫だよ。謝らないで。待つのも楽しみの内だから」
「そっか、ありがとう。あっ! そうそう、私のコートのポケットに、何故か優大君のネックレスが入ってたんだ。何でかな? 」
ああ。それはね、また会いたかったから、入れたんだよ。
作戦だったんだ。あの日限りでさよならだったら悲しいから。
そうでもしないと、もう会えないと思ってた。
そう言うと真希ちゃんは
「そんな作戦考えなくても大丈夫なのに。また会えるから。だって友達だもん」
と笑ってくれた。
笑顔が凄く可愛いんだよな。
彼女の表情に胸がときめいた。
笑顔の似合う女性は好き。愛らしいから。
「はい、返すね」
「うん。ありがとう」
返してもらった時、少し触れた。手が凄く冷たかった。大丈夫かな?
「真希ちゃん、寒くない?」
「今日冷えてるよね。優大君、冷え性だから辛いよね」
「僕より自分の心配してよ」
「ありがとう」
そうだ。行きたいお店決まってるかな?
聞いてみよう。
あるなら真希ちゃんに合わせたいし。
「どこか、行きたいお店ある? 」
「えっと、自分で調べたりもしたんだけど、いまいち分からなくて」
顎に手をあてて、うーん、と悩んでるみたい。
やっぱり遠慮してるのかな?
でも、大丈夫。ちゃんと考えてあるよ。
「じゃあ、もし良かったら、僕が選んだ所でも良いかな?」
「うん、ありがとう。よろしくね」
予めリサーチしといて良かった。
真希ちゃんが好きな感じで、似合そうな物があるお店を見つけてあるんだよね。
他にも綺麗なのが売ってある所とかあったけれど、やっぱり、あのお店がいい気がする。
名前はLucia Angelica (ルチア アンジェリカ)
雰囲気が良かったから、大丈夫だ。
喜んでくれたら、凄くうれしいんだけどな。
ところで、どうしてあっくんと喧嘩したんだろうか。
詳しく聞いてないから気になるけど、喧嘩したままで居て欲しいな。
新しいお守りをプレゼントするから、もうあっくんはいらない存在になるね。
そうなったら、真希ちゃんは完全に僕だけのものだ。
あっくんの大切な真希ちゃんでは、嫌なんだ。
僕だけの真希ちゃんになってほしい。
最初は正直、興味本位だった。
あっくんのものだから奪ってやろうって思ってた。
彼が大切にしている特別が自分にも欲しくて。
でもメッセージアプリでの楽しくて癒されるやり取りや居酒屋で飲んだりしてたら、好きになった。
見た目も勿論、好みだけれど何より優しい人柄に強く惹かれてしまった。
真面目なだけじゃない彼女の一面を見られて嬉しかったんだ。
ちょっとずつ知っていく度、愛しい気持ちになる。
この思いを大切にしたい。
好きになってほしいよ。
胸の痛みがちくり、と鳴った。
もし友達のままだったらどうしよう。
本気だと、迷惑? 傷つけてしまう?
友達で居続けるの、嫌だ。
でも、嫌われたくない。
どうしたら良いのかな。
距離を置かれる位なら友達でいたい。でも、僕はワガママだから自分のものにしないと気が済まない。
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