ー藍来ー仲良くしないで

28話

やっと戻って来られたのに、 何で?


優大と仲良くなるなんて。


嫉妬せずにはいられなくなってしまった。


真希への甘い気持ちが、ふつふつとしている。

このままジャムにでもなるんじゃないか。

パンになんか塗ってやらないで、スプーンでめいっぱいすくって口の中に入れて味わいつくしたい。


そう、どろどろと舌が溺れるみたいに。

この気持ちは自分以外、知ってほしくない。



そんな変なことを思うくらい、激しい気持ちが抑えられないんだ。


俺は真希といつも一緒に居たし、男と付き合わないように魔除けの力を使っていた。


だから今まで安心してた。誰も近寄れないようにしてたから。


しかし何で、魔除けが効かない?


恐らくだが優大の霊的な力が強いのかもしれない。

確か、霊感が強いって言ってた。そのせいか。

力が強いと、魔除けの効き目がないのか。


優大に俺の力の話をして聞いてみたが、さあ? 知らないって言われた。


霊感が強い場合は、効果がない可能性があるみたいだな。



力が効かないなんて困る。



俺だけの真希なんだよ。

勝手に仲良くしないで欲しい。

優大は、人の大切なものを奪いたいだけ。

ゲーム感覚で仲良くしてるに違いない。

全然、本気じゃないから。


仲良くしない方が良いって言わなければならない。

ちゃんと話せば分かってくれる。

優大の性格の悪さを知らないから、きっと騙されてる。



真希を守らないと。傷つけられて、彼女の繊細で優しい心が壊れてしまう。


笑顔の無い彼女に戻ってしまったら、嫌だ。

真希の中で大きくなってるであろう、優大の存在を排除せねば。


寝る準備をしているところだったから声をかけた。


優大の事も話さないとだけど、俺の居ない間に仕事がどうなってたか聞かないと。


残業してたみたいだったし、心配だ。凄く疲れてるだろうな。癒してあげたい。


『俺が居ない間、仕事はどうだった? 』


「もう、駄目駄目だったよ。仕事でミスばっかり。書類の作成、上手く進まなかったんだ。上司に言われちゃった。西崎、珍しくミスが多いなって。なんとか終わったけどね」


『だから残業してたのか。大変だったね、疲れてるでしょう』


「うん、結構疲れちゃった。残業なんて久しぶりにしたな。いつも藍来のおかげで、仕事が早く終わってたから。居なくて初めて、ありがたみに気づいたよ。藍来が仕事で助けてくれてたんだって」


大変だったんだ。

真希、おっちょこちょいな所があるから。

落ち着いてやっていれば失敗しないのに。慌てるからな。

だからいつも彼女に確認を怠らない様、促してたからミスも減ってた訳だし。


やっぱり俺が居ないと駄目だ。


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