ー優大ー君の大切なブレスレット
15話
やったね! 可愛い真希ちゃんの連絡先、教えてもらっちゃった。それに面白いことがもう1つあるんだ。
まさか、また会えるだなんて思わなかった。
「ねえねえ、あっくん。居るんでしょ? 」
優大、お前どういうつもりだとあっくんが睨みつけてきた。
うわあ凄い怖いな。怒ってるところ。
あっくんがそんな風に感情的になるなんて珍しい。
いつもドライな感じで、人に対して関心が無いように見えるのに。
面白くなってきたな。僕、性格悪いね。
人を怒らせて楽しんでる。凄く楽しい。
ブレスレットを見つけた途端、綺麗だなとも思ったけど、すぐにあっくんが居るって気づいた。ブレスレットから気配がしたからね。
だって僕、実は霊感が強いからさ。なんか分かっちゃったんだ。
あっくんが居るなんてびっくりだ。
久しぶりだから、たくさん話を聞きたいし。
だから連れて帰らなきゃってね。そう思って真希ちゃんから奪った水晶のブレスレット。
虹が見える箇所があって、天使の羽と言われてる部分も綺麗。
きっと大切にしてるんだろうなって。だって、僕の知ってる水晶のイメージより、ずっとキラキラしていて艶もある。
あっくんが不機嫌そうな顔してるの面白い。
そんな表情でも顔が整ってるから、良いよな。
美男子って言葉がまさに似合う。
鼻筋が通っていて綺麗な二重。
薄い唇に色気を感じるし。
ああ、もう。
男前ってずるいよ。どんな顔したって許されるんだから。
近くに居るあっくんを見てると、かっこいいと思う。
『真希に手、出さないで。俺の大切な人だから』
そう言うんだから、本当に心からそうなんだろうな。
今まで女性と付き合っても、そんな情熱的な事なんて無かったのにね。
彼は自分から告白するなんて全く無かった。交際を申しこむのはいつだって女性からだ。なかなかに罪な男。
いいな、真希ちゃん。ますます欲しくなってきた。
人のものって羨ましく感じるよね。あっくんのものなら尚更、欲しい。
「えー?真希ちゃんと付き合ってるの?」
そんな訳無いだろうけど。だってあっくんは……
『付き合ってない。でも真希を愛してる』
付き合えないよ、死んでるんだからね。
真希ちゃんが幽霊となんて、あるはずがない。
分かりきってるけど、彼がどれくらい本気か知っておきたかったから聞いてみた。
「真希ちゃんを愛してるんだね。でも」
本当の事を言ってあげなくちゃね。
絶対に結ばれることなどないって。
それにどんなに本気だとしても、その気持ちは真希ちゃんを不幸にさせる。必ずね。
真希ちゃんの幸せを願うなら潔く身を引くべきだと思う。
僕、勝ち目あるじゃん。
あっくんは僕よりかっこいい。でも、死んでる以上選ばれないよ。
無理だね。悪いけど諦めてもらおう。
「あっくん。はっきり言うけど……」
『分かってるよ、そんなこと』
はっきり言う前から、理解出来てるなら諦めれば?
そう笑った僕に、彼は更に怒った。
沢山、怒り狂えば良いんだよ。きっと、その後に現実を知って虚しくなるだろうから。
あっくんが大切にしてる真希ちゃんを奪う。
彼はもっともっと虚しくなるね。
最高な気分になれるだろうな。
僕のものになった真希ちゃんの事、どうにかしちゃったら……想像しただけで興奮しちゃうね。
あっくんには出来るはずがないよ。真希ちゃんを恋人にするなんてさ。
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