10話
嫉妬深いとそのうち嫌われてしまうかもしれない。
いや、むしろ今までよく嫌われずに済んだよな。
運が良かったからなのか、隠すのが上手いだけか。
必死に本性を見せないようにしてるだけなんだけど。
いつか、彼女が離れていく気がしてならない。
こんな俺を好きになるはずがない。
真希の好きでさえも、全部自分だけにして縛り付けたいなんて。
いくらなんでも自分勝手過ぎる。好きくらい自由で良いはずなのに。
それを平気で踏みにじる奴になんか、なりたくない。
自分のせいで真希から笑顔が消えたら嫌だ。
いいんじゃない?
めちゃくちゃな彼女も、見てみたくない?
心の声がそう言ってる。
やめろ、気づかない振りをしてるんだから。
何で居るんだよお前。ふざけないでくれ。
そんな風にするなんて嫌だよ。
知らない。汚いどろどろした、どす黒い感情なんて。
早く消えてくれ。居ない。
そんな悪い俺なんて存在するはずない。
海が終わり、次に流れたのはロマンスとグロテスク。
今の気持ちと歌詞が重なって、俺はまた笑う他なかった。
何でこんな歌書いたんだよ、今まで妄想だったのに。でも今は現実だ。笑うしかないだろ。
ーー絶対に離さない ロマンスとグロテスクが交わる俺の中で お前を壊したい 強く愛してるのに 届かないのは何故 堕ちてしまえばいい 何もかもーー
自己嫌悪で本当に消えたくなる。
嫌な俺を真希が知ったら、どう思うだろうか?
いっそのこと、らしくないって笑いとばして欲しい。
俺のキャラは何にも考えてなさそうな奴なんだから。流されるだけの人間なのだから。
いや。もう、違うんだ。
新しい自分の存在に気づいてしまった。
悪い男で、グロテスクな奴。
真希が頭の中で、淫らにとろけてる。
獣みたいな俺にぐちゃぐちゃにされて。
あはは、最低過ぎる。何でおかしくしてしまうんだ。
自分をグロテスクに思わずにはいられない。気持ち悪すぎる。
胸がこれ以上ないくらい痛いはずなのに。
ずぶずぶな快楽へと
彼女を自分の何もかもで
そんなしょうもない考えを抱いてしまう、いやらしい俺が居るなんて。ああ、消えてしまいたい。
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