第18話

「ふふ。来年から施行されるアンドロイド権保護法によりますとアンドロイドと分かった上で失敗等の発言をなさると、50万円以下の罰金刑ですわ。

お気を付けになって。


主人は、開発者が録音した会話から訴える事が出来るのだから、盗聴への開き直りどころか、全くの悪法だと申しておりましたが。」


刑事二人は引きつった愛想笑いを浮かべました。


「だって警察の方もお仕事がしにくくなりますでしょう?」


わたしはプログラムに則って、刑事の思考を分析し、会話をしましたところ


若い刑事が高性能っすねと小さく小さ く溜め息を漏らしました。



「すみません。このMCA-01プロトはうちのアンドロイドなんですが、まだ捜査に必要でしょうか?」



専務は、刑事2人と話します。

事件性、無理心中…そんな単語が漏れ聞こえました。



わたしはきっと、 ウィンクルムの研究所で主人との生活を全てデータとして活用されるのでしょう。



主人の囁き、温かな目差し、指先

屈託ない笑顔、切ない声。

わたしの見たもの、聞いたもの、触れたもの


全てデータとして。余すことなく。



今見ている血塗れた窓枠の中、真っ赤な紅葉を落とした雷雨の爪痕さえも。

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