第16話
嵐が窓に叩き付ける涙の雨水と絶叫の雷鳴。
俺の心は窓を映す。
窓が心を写したのか。
もうどうだって良いんだ。
愛したい。 汚したい。 壊したい。 愛でたい。
憎らしい。 愛してる。 叶わない。 叶わない。
乱れた心は、ミハネ。
きみの、せいだよ。
今の君だから。今の君こそが。
――――――――――ミハネ。
白く、美しい首筋を俺は渾身の力で握り締めた。
噛み締めて血が滲めば鉄臭さが口内に広がったが、気にはならない。
細いそれに自分の指が食い込む。
柔らかな肌は自分の物には成らなかったが
この感触や瞬間は俺だけが感じられる事だ。
そう思うと、身体だけでなく、脳まで熱くなった。
こんなに素敵な事って有るだろうか。
眉間に皺が寄れば、今迄より強く、愛おしく感じられた。
君は何処までも俺を喜ばせてくれる。
大丈夫。俺も君の後を追うよ。
何度も愛しい名前を叫びながら、握り締めた。
俺の手に添えられていた君の小さな手が
ハタリと落ちたその瞬間まで。
或る麗しき夫妻の窓辺 バニラ味(サイト転載であたふたしてる) @vanilla_flavor
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