第15話

◆Mr.Mikami side.


この愛は凶器だ。

愛してると振りかざせば、受けざるを得ないだろう。



この愛は狂気だ。

愛していれば、君という一個人を蔑ろに出来得る。



君の愛も狂気だろう。

愛してるから、俺のキョウキを、甘んじてしまう。



「愛している」と云う大義名分で俺たちは傷付け合える。




誰もが羨む美しい君を傷付けることが許されているのは

権力者でも神でもない。


只俺一人と云うこの上無い優越感に、俺は浸る。

温かで、穏やかで、目映くて

日だまりの窓辺、そのものだ。



その唇に、キスをした。


愛しいミハネ

美しいミハネ


俺だけの君は


「泣きすらしないね。」

「はい。泣きません.」


「何故?」

「あなたの幸せがわたしの全てですから.」




嗚呼。


愛しくて、愛おしくて

結ばれない歯痒さが、もどかしさが


交わらない想いが、愛が



憎しみに染まる。




俺を痛烈に、静かに、確実に


染めていく。

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