第6話

4月3日


春とはいえ、肌寒い今日は主人と結婚して7回目のわたしの誕生日です。



「乾杯」


ディナーの後、チンと静かに重ねたグラス。

優美なロゼを傾け、夜は穏やかに、静かに更けていきます。



君にだよ。と、渡されたのは、ワインレッドのペーパーバッグ。

長方形の包みは、ネックレスでした。


「まぁ!綺麗!」

私の言葉に、フッと笑う主人は


着けても良いかい?そう私に問いました。


それに頷くと、繊細な手がわたしの首に触れ、そっと髪を退かして器用にネックレスを留めて下さいました。



「とても。とてもよく似合っているよ、ミハネ。」


愛おしそうに目を細めた主人に、微笑んで礼を述べました。

 

「でも宜しいんですの?」

「宜しいも何も、ミハネの為に買ったのに。」


くすくす笑う主人は



「それを着けたミハネをみたいって下心も含まれるが。」


そう言うなり、首筋に口付けを。

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