純粋な欲求
第4話
◆Mrs.Mikami side.
「三上さん。」
スーパーへの帰り道。私は聞きなれたそれに振り向きました。
「石井さん、守下さん.」
そこには二人。近所にお住まいの奥様です。
わたしの買い物袋を石井さんは一瞥し、夫婦だと量が多くないから羨ましいと仰いました。
「石井さんは、4人お子様がいらっしゃいますもね.」
得心して答えれば、一瞬表情が険しくなりました。
「そうなのよぉ。まぁ、将来…」
「ミハネ。」
愛しき人の声で、子供自慢に華やぐ石井さんの言葉が途切れました。
駆け寄った主人に視線が集まります。
少し呼吸を乱しているものの颯爽と歩み寄る主人は、奥様方に会釈をしました。
洒落たフランス映画の主人公さながらに。
奥様方の目差しは羨望と嫉妬が含まれていると
わたしは密かに分析した事が有ります。
「遅いから心配したよ。」
「ごめんなさい。さっき空を眺めていたせいね。」
主人は期待通りの答えに目を細めるなり、わたしの手から買い物袋をそっと取りました。
「無事で何よりだよ。さぁ、荷物を。」
「有り難う、あなた.」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます