第2話
そう。窓辺は私たち夫婦の憩いの場。
そしてわたしの主人は、この窓辺の様に穏やかで、麗しい人です。
キメが整った白い肌は滑らかで、黒髪は光の加減でアッシュブラウンに。
くっきりとした二重、ガラスの様に澄んだ瞳。
すっと通った鼻筋と、しっかりとした意思を思わせる形の良い唇。
その端正な顔立ちをなんとも思わない女性は居るだろうか、と云う程に。
それはわたしの主観ではありません。
街を歩けば多くの女性が主人に振り向くのですから。
わたしなんかには到底、勿体無い男性(ヒト)です。
「ああ。でも。コーヒーを頼めるかな?」
寝癖を付けた主人に微笑みます。
完璧な主人。その寝癖は、無防備で、可愛らしいと認識してしまうのです。
「お部屋にお持ちすれば良いかしら?」
「いや、君と朝を楽しみたいから此処で。」
「はい.」
豆を挽いて、沸かした湯を注いで
それだけの事ですが、主人が漂う芳香に満足気な表情。も、束の間
「豆を変えたかい?」
主人は気付いた様子。
「えぇ。…お厭でした?」
そんなわたしを安心させるように、主人は笑いました。
「そんなことはないさ。
君との生活でコーヒーの種類が豊富になったよ。これは…キリマンジャロかな。」
「ふふ。正解は…秘密にしようかしら.」
「勿体ぶらないでくれよ。気になるじゃないか。」
苦笑を交えて豆の名を答えれば
知ったかぶりは良くないね、と屈託なく笑いました。
ふふふ、とわたしも笑います。
主人がわたしの全てですから。
主人の笑顔こそがわたしの存在価値ですから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます