第85話
「双葉」
「はい?」
一人憤慨していると背後から名前を呼ばれた。
勢いよく振り向けば、皐月が目と鼻の先に立っていて。
ドキッとしたのも束の間、持っていたお菓子を口に放り込こまれた。
指が唇に触れ、ジャリッとした食感と共にほんわかとした優しい味が舌の上に広がっていく。
「あ、
「美味いか」
「うんっ」
機嫌良く尋ねられ、頬を押さえながら満面の笑みで頷く。
これは“夏の風”と名付けられた琥珀糖だ。
寒天と砂糖で出来ていて中はぷるんとした食感。
見た目は透き通った青色をしていて宝石みたいにキラキラと輝いている。
快晴、海、爽やかな風……と、濃淡様々な青色を連想して作った、夏をモチーフにした商品。
見ているだけで涼を取れる気がする……、と気温が暑くなってくると飛ぶように売れる。
夏真っ只中になるとゼリーとかの方がよく売れたりもするが、初夏の時期には欠かせない。
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