第83話

「おい、双葉。そう睨んでやるなよ」


「だって腹が立つんだもん」


「別にそんな目角を立てるほどのことでもないだろ」


「立てるほどのことよ」



「もっとこう、仲間なんだから仲良くしろや。内で敵を作らず」


「何を言ってるの。その仲間を分裂させようとしているのはお祖母ちゃん達でしょうが」




苦言をていするお父さんに“黙らっしゃい”と言わんばかりにピシャリと言い放つ。



自分でも熱くなり過ぎてるのは分かっているが、こうも堂々と蔑ろにされたのでは納得がいかない。



そうやってお祖母ちゃん達が喋ってる間も皐月は黙々と作業をしているのに。



ヘラヘラと笑いながら“余裕、余裕”なんて言われたら苛立ちの一つだって覚えるでしょうよ。




いくら職場を挟んだ付き合いだからって、人の頑張りを無視してまで調子を合わせるようなことは出来ないわ。



むしろココで黙って頷いたら、それこそお祖母ちゃん達の思う壺だと反逆心まで燃え上がる。



絶対に勝つ。


そんな闘争心でいっぱい。



本音を言わずに合わせるだなんて、そんなの旗を巻いて逃げるのと同じなんだから。

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