第80話

次の日。




「新しい春向けのお菓子のレシピを考えてこい」




いつもより早めに出勤すると、お祖父ちゃんが傍に来て、対決の内容について皐月に告げた。



春を題材にした新しい商品を考えてみろ、ということらしい。




皐月の読み通り。


近くにいた筒地君も自信ありげに頷いている。




新しいレシピか……。


“伝統を大事にしながらも新しい風を入れていく”



いつもそう心掛けているお祖父ちゃんらしい勝負内容だ。



お店を任すからには今あるモノを守るだけじゃなく、より良く発展させていって欲しい。


そう思っての“新しい商品を考え出してみろ”なのだろう。



変わらない味を求めるお客さんがいる一方で、飽きるお客さんもいるし。



二兎追うものは〜ってことわざがあるが、“追えるなら追え、全力で追え、頭を使って仕留めろ。最初から諦めるな”が、お祖父ちゃんのモットーだから。

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