第79話

その後、お風呂から出ても寝る前になっても皐月はずっと変わらず、ご機嫌だった。



この間、手を繋いで帰ったけど、そのときと同じくらい今日の私たちは距離が近かった。




「……寝るの?」


「あぁ」




しかし、それでも一人で寝室へ行ってしまうんだから、やっぱり皐月にとって私は嫁というよりも相棒って感じなのかも知れない。



念のために塗ったリップは今日も一切取れることがないまま。


今日も私の唇を孤独に潤している。




あぁ、その気って結構大事だ。


お互いがその気にならなきゃ恋愛って成り立たないから。



私だけ必死に頑張ったって意味がない。



相手が振り向いてくれて、やっと初めて前に進めるのだ……、と一人寂しく布団に潜りながら思った。

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