第77話

そんな風になるまで熱心に取り組んできたモノを否定されたのに、どうしてそんなに前向きでいられるのか謎。



近づいたって、傍に寄ったって、いつもみたいに憎まれ口を叩かれることもなければ、去ろうともしないし。



隣に座っても「お前はどんなお菓子が食べたい?」って楽しそうに聞くだけ。




おかしい。


いつもなら『邪魔』って怒るのに。


怖いくらいに優しい。




そんなに私の言葉が響いたんだろうか。


皐月だから結婚した、って……それが。



それとも普段がおかしすぎたのかな。


これが本来の正しい夫婦の姿だったり?



その辺よくわからないけど、急速に距離が縮まってるのは確かだ。



いつもは家にいたって人一人分はスペースが空いてたのに、今は肩が触れ合う近さ。



物理的にも精神的にも近い。

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