第68話

「俺はお前たちに任せればいいと思ってるんだがなぁ」


「だったら止めてよ」


「そりゃ無理だ。決定権は祖父さんにある」


「意気地なし」




情けないことを堂々と言ってのけるお父さんに、じとっと白けた目を向ける。



普段は偉そうにしているのに、こういうときだけはヘタレになるんだから。



困ったお父さんだ。




「おめぇ、それより祖母さんの方に気をつけろ。あっちは更に、ややこしいから」


「……お祖母ちゃんったら、また何か言ってるの?」


「それが、皐月君と野菊ちゃんの仲が怪しいって言って聞かねぇんだよ」


「は?」


「何でも皐月君と野菊ちゃんの姿が、お向かいの呉服屋の亭主が不倫してたときと瓜二つだとかで」


「似てるからって一緒にしないで!」




いい加減にしてよ!と憤りを感じながら、力強くテーブルを叩く。

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