第66話

いろいろと謎多き筒地君の話。


実は言うと彼はお祖母ちゃんの幼なじみのお孫さんらしい。



その幼なじみとお祖母ちゃんは昔から仲が良く、今だに電話で長時間も話し込む仲だ。



その人の孫にあたる筒地君は、言ってみればお祖母ちゃんにとって孫同然の存在らしかった。



筒地君の方もお祖母ちゃんのことを第2の祖母そぼのように慕っていて、お祖母ちゃんが実家に帰ると言えば必ず自分も帰省くらい、お祖母ちゃんに懐いていたのだとか。



それもあってか筒地君は和菓子職人の道に進み、才能もあって成功する。



しかし、その才能を面白く感じない人も多数いたようで、以前勤めていたお店では度々、嫌がらせを受けていたそうだ。



それを聞きつけたお祖母ちゃんは居ても立ってもいられず。



筒地君が以前働いていたお店の方に出向き、そこの主と喧嘩する勢いで筒地君をうちのお店へ引き抜いてきたのだとか。



それもお祖母ちゃんは新しく作っていた二号店を筒地君に任せるつもりで呼んだものだから、筒地君もすっかりその気。



それを知ったお祖父ちゃんも『勝手なことをするな』と、お祖母ちゃんをたしなめはしたものの、特に反対はせず。



妥協案として、皐月と筒地君で対決をし、勝った方に二号店を任せると言ったみたいだ。



それを聞いた筒地君も了承してしまい、話は勝手にそっちの方向で進みそうになっている……と、お父さんはニコリとも笑わずに話し終えた。

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