夏の風

第65話

「双葉、皐月君。すまん!状況が変わった……」




二号店の座を守るべく、ひっそりと動き始めてから三日後の夜。



ご飯を食べ終わってまったりとしていたら、お父さんが『大事な話がある』と言って、私たちの家を訪れた。



わざわざ家にまで来るなんて珍しい、と思いながらお茶を出して数分。



お父さんはダイニングのイスに座るなり、しょんぼりと肩を落とした。



いったい何について謝罪をしているのか謎。


落ち着きなくソワソワと手を動かして物凄く申し訳なさそうな表情だ。




そんなお父さんの姿を目に入れるのなんて初めてで軽く動揺。



嫌な予感に包まれつつ、首を傾げてみる。





「何があったの?」


「それがな、二号店を筒地に任せるって話があっただろ」


「あぁ、お祖母ちゃんがゴリ押ししているあの話ね」


「そう。それが現実の話になりそうでさぁ」


「はぁ⁉ いったい、どういうことよ!」




いきなり聞き捨てならない話を聞かされ、感情を露わに声を荒らげる。




目を釣り上げて詰め寄れば、お父さんは言いづらそうに目を逸らして、ポツリポツリと私たちに状況を説明し始めた。

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