第59話

「お祖母ちゃん、本気で筒地君に二号店を任せようと思ってるのかな?」


「親父さんがわざわざ忠告してくるくらいだから本気だろ」


「だとしたら怪しくない?」


「何が?」


「もしかしたら洗脳されてるのかも知れない」




そう言って双葉は大真面目な顔で「怪しい……」と筒地のことを疑い始める。



思わず吹き出してしまったのは仕方がないことだと思う。



真面目な顔でいったい何を言うかと思えば、そんなネタみたいな話。


いくら何でもあり得ねぇだろ。




確かに二人は仲がいいけどな。


さすがに騙されているわけではないと思うぞ。



そこはもう単純に筒地が俺より上だと認められたってだけの話だ。



双葉の所為でもなければ筒地の所為でもない。


完全に俺の力量不足。



長年、店にいようが毎日頑張っていようが、店を任すにはまだ早すぎると判断されただけの話。

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