第54話

「気ぃ引き締めて頑張れよ」


「はい。もちろんです」


「本当に頼むぞ。じゃないと祖母さんのやつ、筒地に二号店を任せたいとまで言い出してるから」


「は?二号店を筒地にですか?」




突拍子もなく出てきた親父さんの話に思わず顔面が凍りつく。




おいおい。


いくら腕がいいからって、入って一ヶ月も経たない新人に店を任せるのはどうなんだ?



そりゃ、向こうは俺よりも修行を積んできたのかも知れないけどさ。



八年の間ずっと店にいた身からすると、パッと出のやつの方が信用出来ると言われたようで複雑だ。




俺がその話をしたときは“まだまだ早い”だとか、“皐月君には任せられない”だとか、スペシャル塩対応で返してただろ。



あの祖母さん、いったい、どれだけ筒地を気に入ってるんだ……。



随分と対応が違いすぎる。

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