第43話

大体、双葉はわかってない。



いったい俺が何のために必死こいて毎日ここまで頑張ってるのか。



全部が全部、お前と一緒にいるためなんだからな。



双葉が店を継ぐって言うから俺だって跡継ぎになるために真剣だし。



“半端もんに店はやらん”って親父さんが言うから、一人前って認めて貰いたくて頑張ってんだよ。こっちは。




そりゃ好きかと聞かれたら正直わかんなかったよ。


結婚するまでは。




俺はただ、俺の作ったお菓子を食べてお前が笑ってりゃ、それで良かった。



だけど、それを永遠にしたいと思ったらお前の隣に立つしかなくて。



だったら、まぁ、別に結婚って形にしてもいいかな……と思ったわけで。



思い切って言ってみれば案外満更でもない顔で頷いたから。



ああ、じゃあ、大切にしねーとな、と思ったわけよ。




そう思ったら、すげぇしっくりくる自分がいて。



こいつと一生付き合うのか……と考えたら、ずっと感じていた双葉に対するモヤモヤが消えて、妙にスッキリした。

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