第44話

愛情は自分が思うより、ずっと前から傍にあった。


言葉にして出さないだけで日常のどこかしらで愛しさを感じてる。




ただ、その胸の内を本人に伝える機会がない。



いきなり『好きだ』と言われても双葉だって返答に困るだろうし、あいつのことだから『いきなり、どうした』となりそうだ。




双葉は別に俺のことが好きで結婚したわけじゃないしな。



それこそ“一緒に店を継ぐなら皐月がいい”ってホントそれだけ。




言うて長年の付き合いだ。



他の何よりも店を一番に考えていることくらい、わかってるよ。




だから、お前の気持ちが俺に向くまで待つって心に決めてんだ。



夫婦らしいこととか、そういうのは義務みたいにするんじゃなくて、愛情を持ってした方がいいと思うから。

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