第13話

「それでね、双葉ちゃん。私、ちょっと思ったんだけど」


「……うん」


「来週から来てくれる予定のお嬢さんがいたじゃない?この間、面接した……」



「あぁ、あの可愛い子ね」


「そー。あの子。やっぱりお断りしようと思って」


「はい⁉なんで?」



「だって、あの子べっぴんだし、若いし、話し上手だし。何だか皐月君もコロッといっちゃわないか心配で……」




やだわー。心配だわー。そうなったらどうしましょう、ってブツブツ、ブツブツ。



隣で聞いていたお母さんまで「断るなら早い方がいいわよ」と頷き出す。




いやいや、このオバちゃんら正気か⁉


二号店を出すから人手がいる、って理由で募集を掛けたのに、そんな理由でお断りするなんてあり得ない。



ただでさえ人手不足なのに、いったいどうするつもりなの?



そう心配に思うが、一度走り出したお祖母ちゃんの暴走は止まらない。



電話の受話器にまで手を掛けて、すっかりお断りする気になっている。

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