第12話
二人の会話の内容から推測すると、奥さんは既に家を出ていったらしい。
行き先は不明。
実家に帰ったのか、娘さんのところに行ったのか、とにかく家には帰らないまま。
残されたご亭主さんは意気消沈で、毎日、涙で枕を濡らして相手の女の子にも逃げられたんだとか。
「自業自得とはいえショックでしょうね」
「そりゃそうよ。あれだけ長い間、連れ添ってたんだから」
「お店はどうするの?」
「さぁ……。一人じゃ回せないし、このまま畳むかも知れないわね」
いい目利きをしてたのに〜、とお祖母ちゃんは残念そうに言う。
そっか……。
閉店しちゃうかも知れないんだ。
確かにお向かいは数日前からシャッターが閉まりっぱなしだし、そこに貼られたお知らせにも【店主の私情により暫く休業させて頂きます】って書いてある。
お向かいの夫婦のことだから、てっきり仲良く二人で旅行にでも出掛けているんだろうと思ってたけど……、実際は違ったみたい。
しょうがないことだけど、寂しいや。
長い付き合いだっただけにショックが大きい。
お祖母ちゃんやお母さんだけじゃなく、私もよくお世話になっていたから。
暫く休業するって、いつまでだろう?
休むってことは再開する気があるってこと?
またいつか、開く日は来るんだろうか。
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