第7話

私の方だってそうだ。


結婚相手=跡継ぎの流れは絶対で、それなら“相手は皐月さつきしかいない”と思った。



皐月は仕事熱心で真面目、責任感も強ければ職人としての腕もいい。



昔からの知り合いで信頼も厚いし、一生を共にしていく相手として申し分ないと思った。




だから、お父さんたちに『皐月君と結婚するか?』と聞かれたとき、二つ返事で頷いた。



それなりに恋愛も経験して満足してたし、他に結婚したいと思える相手が現れるとも思わなかったから。



何より結婚して距離が縮まれば、幼かった頃の仲睦まじい穏やかな二人に戻れるんじゃないかと期待した。




そういう経緯があって私たちは昨年の春に結婚した。



そこに愛はないし、周りに背中を押される形だったけど。

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