第6話
結婚の話が出たときもそうだ。
私のお祖父ちゃんがお酒の席で言った『うちの孫を貰ってくれ』って冗談に、皐月は一部の迷いもなく『はい』と答えた。
その気なんて全くなかったお祖父ちゃんの気持ちをコロッと変えてしまうくらい。
あの日の皐月は大バカ真面目な顔で頷いた。
『俺はお前とならそうなってもいいと思ってる』と。
近くでびっくらこいていた私にそう言った。
そりゃ、皐月だって“
職人として働くからには、夢や目標みたいなモノだってあるだろうし。
だけど、さすがに嫌いな女と結婚してまで店を継ぎたいとは思わないはず。
そこはもう、負けるのが嫌いな皐月のことだ。
コネなんか使うくらいなら、堂々と自分の腕で私から奪い取るくらいのことはする。
だから、その選択を選ぶからには私への好意みたいなモノがそれなりにあるのかな……と、そのときの私は思った。
結婚するなら私がいいとか、そんな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます