第5話

歳を重ねたってそれは変わらず。


私たちは口を開けば喧嘩ばかり。




だから、皐月がうちの店に弟子入りしてきたときは“ なんで?”と驚いた。



うちで働いたら毎日のように私と顔を合わせるのに、いいのかな……と思って。




だけど、皐月は他の店に行くって選択肢はなかったみたいで、面接をしたお父さんに『他は考えられません』と頼み込んでいた。



この店のお菓子が好きだから、って真剣に。




それを聞いて納得した。


確かに皐月は昔からうちのお菓子が好きだったし、お店にもちょくちょく顔を出していたから。




身内が働いているのもあって、うちの店の内部事情もよく知っているし。


職人になりたいと思うなら、うちの店を選ぶのは自然な流れだったのかな、と思う。




それに何だかんだ言って、本当に私が嫌いなのかと聞かれたら、そうじゃなかったんだろう。


単に張り合っていただけで。

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